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ドイツとその周辺の本の話 6
2012-04-09 Mon 15:17

外国の本に触れてしみじみと思うのは、私たちの住む日本では本当に本が「丁寧に作られている」ということ。
そもそもはハードカバーに対して廉価版として出版されている文庫本も、まずカバーがあること自体が珍しいことだし、デザインは凝ってあって、帯までついている。ページを開けば読みやすさを追求した書体や活字の大きさ、なにより、紙が柔らかくて読みやすい。洋書のペーパーバックを手にしたことのある方は、手の力と戦うようなバキバキに固い紙や、灰色の安い紙に、細かいアルファベットが染み込んでしまいそうになっているのを一度は目にしたことがあるだろうと思う。ハードカバーとなれば洋書も高価になって装丁も紙質も良いものになってくるが、たまに、日本人にとってはいくらかダイナミックすぎる本もある。たとえば村上春樹「1Q84」の英語版、日本ではもちろん三分冊にされているのに、あっさりと三冊分を一冊にぶち込んでしまう。ほとんど辞書に近い。

ところで、これは個人的な楽しみでしていることなのだけれど、私は留学中に旅行したいくつかの国では必ず書店に寄って、現地の言葉に翻訳された「海辺のカフカ」を買うことにしている。私自身は特別、いわゆるハルキストというわけではないけれど、「世界中の言語に翻訳されていて」かつ「たいていの書店に置いてある」本となると、日本の小説ではこれ以外にはないだろうと思う。もちろん、言葉が一切わからない国にも行ったので、たとえばチェコに行った時などは、タイトルを読んでも「海辺のカフカ」とわからなく、一冊ずつ奥付のところを見て原書名をいちいち確認したりと、なかなか奇妙なこともした。

旅先に持って行った本、旅先で買った本、失くした本。手にとって重さを感じることのできる本は、ときおり思いがけないタイミングでそのときのエピソードを喚起する。偶然も呼び寄せる。あなたにとってもそうであればいいと思う。


全六回、不定期ながらも週一回更新のペースで連載させていただきましたこのコラムは、今回で最終回です。内容について質問等があれば、どうぞコメント欄でお寄せ下さい。
自分の留学体験と本について、自身の中でもなにか形としてまとめ残しておきたいというなんとも手前勝手な理由から始めたコラムでした。いろいろと雑な部分が目について、ブログを読んで頂いてくださった方々にはただのお目汚しにしかならなかったかもしれませんが、せめて、「ニオイ」のようなものを感じられていただければ思います。


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別窓 | 執筆者:関圭介 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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